脳が伸び縮みしてるわけじゃないんですけどね...
科学・医学は結果が再現されて初めて学説の正しさが立証される厳格な世界ですが、おんなじ脳のスキャン画像でも解析ソフトのOSやバージョンによって値に大きなブレが出ることがわかり、「CT、MRIなんかの他のスキャンは大丈夫?」と関係者の間に不安が広まってますよ。
ちょうど先月、「SPM8」というfMRI解析ソフトで似た警告が出回ったばかりですが、今回、オランダのマーストリヒト医療センターとアルツハイマーセンター・リンバーグが使ったのは、脳のサイズを部位別に計測できる人気の医療用イメージ解析プログラム「FreeSurfer」です。これで脳スキャン画像30枚を解析してみたところ、データ処理によって体積と厚さに差異が確認されたんですね。
プログラムは3バージョン用意し、Mac(OSX 10.5とOSX 10.6)とHPのワークステーションでそれぞれ走らせてみました。するとFreeSurfer v5.0.0で計測した値は前2バージョンと体積で平均8.8±6.6%(1.3-64.0%)、皮質の厚さで平均2.8±1.3%(1.1-7.7%)も違いが出てしまったんです。
そこまで大きな差ではないけれど、MacとWindowsの間でも違います。また、同じMacでもOSX 10.5かOSX 10.6かによっても違うんですね。
どれぐらいの差かというと、ほとんどの部位で最低2〜5%の差が出ているほか、海馬傍回と内嗅皮質に至っては最大15%!「精度評価と神経変性研究に記載報告しなきゃならないぐらい大きな違い」なんですよ。
ソフトやOSのアップデートでこんなにガタガタ違いが出るんじゃ堪ったもんじゃないですよね! 理屈の上では、転院したり、同じ病院内でもITのアップグレードの前後で診断に違いが出てきちゃう...なんてことになり兼ねません。