薄い。
目にした瞬間、ワコム製ペンタブレットIntuosと錯覚してしまったほどの薄さ。よく見ると液晶が入っていてビックリ。
そう、これは液晶ペンタブレット、Cintiqシリーズの新型モデル「Cintiq 13HD」。今月19日に発表されたばかりですが、ギズは一足お先に触らせて頂ける機会に恵まれました。
5年ぶりのモデルチェンジで従来よりさらに薄く軽く、液晶画面はフルHDになって帰ってきたCintiq 13HD、すごいですよ。
ワコムのラインナップのなかでは、Intuosがプロ向けのペンタブレットシリーズ。Cintiqは液晶画面に専用のペンで直接描くことができる液晶ペンタブレットで、Intuosのさらに上、ワコムのペンタブレットシリーズでは最上位のシリーズにあたります。
クリエイティブのお仕事をされている方や、趣味でイラストを描いている方なら一度は「Cintiq欲しいなぁ...」と思ったことがあるはず!
既に旧型を持っているCintiqユーザーさんも、Cintiqへの乗り換えを狙っていたIntuosユーザーさんも、新しいモデルを待ち望んでいた方が多いのではないでしょうか。
申し遅れました。突然ですが、私ミッシェル山田と申します。ペット服のファッションブランドを経営していて、デザインのラフ製作からデザイン仕様書に落とし込むまでの一連の作業はほぼデジタルで行っているので、ペンタブレットは手放せません。
もともとイラストを描くことが趣味だったり、ウェブデザイナーとして働いていたこともあり、ペンタブレット使用歴はかれこれ約10年になります。
そんな経緯があり、今回はじめてギズモードで書かせて頂くことになりました。今まではIntuosをメインに使っていたので、Intuosユーザーから見て憧れの液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」の使い心地はどんなものか、レビューさせて頂きますね。
びっくりする省スペースなのに、フルHD
本体は液晶とペンタブ機能まで入ってるのに...薄っ、軽っ! 厚みは13.56ミリで、重さは約1.2キロ。見た目より軽い印象です。
厚さはiPhone 5より少し厚いくらい。重さは一般的なネットブックと変わらないですね。
そして画面はフルHD対応(1920×1080)。細かいところまでとことんペン入れできます。軽量化されているにも関わらず、性能は何ひとつ妥協してません。
解像度が高いので、画面上の作業スペースも充分に確保できますね。ドローイングは細かく設定をかえながら作業を進めたいもの。ブラシ設定ウィンドウやレイヤーウィンドウなどなど、たくさんのウィンドウを出しっぱなしにしても「描くスペースが足りな〜い!」なんてことにはなりにくいはず。
替え芯セットもご健在! 従来のようにペンスタンドの中に仕込むこともこともできますし、万年筆でも入ってそうな高級感の漂うケースに入れて保管...むしろ展示ってくらい綺麗に机に置いておけます。
本体の傾き加減はスタンドで4段階(フラット含む)に調節できます。
しかもスタンド自体が薄いシート状になってるので、本体の裏側にカチっとはめこんで持ち運びができるんです。ノートPCでいうとバッテリーシートのような使い方ですね。
液晶ペンタブレットとして使うほかに、フルHDのサブディスプレイとしても問題なく使えます。デスクトップ派は思い切ってメインディスプレイとして使っちゃうのもアリかも。普段はスタンドで立ててディスプレイ代わりに、ドローイングが必要な時だけ手元に置いて使えば机のスペースをさらに有効活用できますね。
旧型(Cintiq 12WX)との比較
こう見ると、旧型と比べて大幅にデザインが変わってますね。
旧型と新型を重ねてみたところ。画面の外の枠が小さくなり、全体的にもひと回り小さくなってますが、液晶部分は12.1インチから13.3インチと大きく。解像度は上にも書いたとおり1280×800からフルHD(1920×1080)に。
厚みも旧型の17ミリから13.56ミリと、約20パーセントも薄く。しつこいようですが、本当にIntuosと見間違えるくらい薄いんです。この中にどうやって液晶とペンを感知するセンサー入れてるの? と、不思議に思います。
そして、お気づきでしょうか。旧型には必要だった「コンバーター」が不要になったことに...!(正確には不要になったわけではなく、コンバーター「内臓」に変わったわけですが。)
接続ケーブルも大幅に簡略化&軽量化されてすっきり。
個人的に、新しくなったファンクションキーはすごく使いやすいと思いました。
旧型よりボタンがバラけてる分、キーの位置が憶えやすい。暗記が苦手な私は、「これって何のキーだっけ?」なんてオトボケは日常茶飯事なんですが、Cintiq 13HDのファンクションキーは「上から○番目は△△!」と、覚えやすい配置になってます。
一見「ボタンが減った」ように見えますが、真ん中の丸い「リングキー」にも好きなショートカットを割り当てることができるのでご心配なく。
実際にデザイン画のラフ制作で使ってみた!
さっそくこの「Cintiq 13HD」を実際の業務、デザイン画のラフ製作で使ってみました。
やはり目線の先に「ペン」と「画面」があるのは大きいですね。Intuosとの一番の違いはそこにあります。
「ペン」と「画面」が同じ視界に入るわけですから、描く線に迷いがありません。しかも検出可能な筆圧レベルは2048段階で、描き心地は1グラムの荷重から認識して描けるIntuos 5と同等の性能です。
アナログに近い描き心地・塗り心地がほんとにイイ! スケッチブックにそのまま描いているような感覚です。
また、この薄さならテーブルにべったり置いて作業しても段差が気にならないですね。これくらいなら腕が疲れることもないかな、と思いました。
ギズモードのウェブデザイナーも使ってみた!
ギズのウェブデザインを手掛ける前田さんにもCintiq 13HDを試してもらいました。前田さんは昔、Intuos 3を使ってみたところ、なじめなくて一度諦めてしまったとか。それ以来ペンタブには触ったことがないようです。
久々にさわってみた感じと、ウェブデザイナー視点で見たCintiq 13HDの使い心地はいかがでしょうか?
紙にそのまま描いてるような感覚ですね。
サイトのデザイン案は手描きで描くことが多いんですが、その後スキャンしたり写真で撮ったりしてデータ化するのが億劫と感じることがあります。
でもこれならラフを描く時点ですでにデータ化されてるので作業効率がすごく良いですね。ブレスト用のメモにも使えるかも。
ボールペンだと修正がきかないし、色を塗る時はカラーペンに持ちかえるのも面倒だし...。その煩わしさから解放されるのは素晴らしいです。
手描き風の素材が必要になることもあるので、そんな時は重宝すると思います。
何度も描き直せるのがデジタルのいいところ。さらに、ラフ段階で色を決めてしまえば、スポイトツールなんかでそのまま最終デザインにつかえますよね。
紙も無駄にならないし、何気に旧型と比べて消費電力が42W以下から9W以下へと省エネ化してますし、色んな面でエコなツールなんです。
さっそくPhotoshopでブラシ調整をする前田さん。素材となる星マークを手描きでまき散らしてみたり、筆圧を変えて散らす量を調節してみたり。ウェブデザインでも色々と使い道はありそうです。
前田さん、試したあとにぼそっと「これならいいかもな...」と、言ってましたよ。
仕事も遊びも楽しくなるツール
この現場を見ていた編集部鈴木さんいわく「クリエイターに与えると延々と使い続けるツール」だそう。その理由は...
没頭中の私。
没頭中の前田さん。
なかなか手放さないふたり...。「次は私! 私に使わせて!」とケンカが勃発してもおかしくない状況です(若干盛ってますけど)。
クリエイターにとってはそれくらい、夢中になって時間を忘れてしまうくらい魅力的なツールなんですよね...。
アプリ次第ではクレヨンや水彩などのブラシが使えますから、自分なりの使い方を追求するのがまた楽しい。ひとことでCintiq 13HDを表すなら「何度も描き直せて、色んなブラシが使えるスケッチブック」といった感じでしょうか。
業務だけでなくちょっとしたラクガキをするのも楽しくなってしまいます!
薄く軽くなった新生液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」、活躍する場は多いのではないでしょうか?
そろそろ液晶ペンタブレットに切り替えてみたいというIntuosユーザーさん、どうせペンタブデビューするなら妥協のないモデルがほしいというニューカマーさん、デザイン作業を効率化したいデザイナーさんなどなどにぜひご検討頂きたい素敵ツール。価格は9万9800円(ワコムストア価格)です。
あなたのお絵かきライフ、きっと楽しくなりますよ!
Cintiq 13HD[ワコム]
(ミッシェル山田)