アップルほどの大企業ともなれば節税は重要です。ことに匙加減ひとつでビリオンドル単位のお金が動く場合、手抜きはできないわけですが、幸いアップルは会計部門が優秀なお陰で今年92億ドル(9104億円)もの節税に成功したようです。
トリック(...と呼んで差し支えないと思う)は550億ドル(5兆4527億円) の自社株買戻しにあります。あれ、手元資金じゃなく借金で買うようなのです。
自社株買戻しは「そんなにキャッシュ抱え持ってないで少しは分けろ~」という株主の要望に応えるものですが、アップルの手元資金は総額1450億ドル(14兆3492億円)のうち7割に当たる大体1000億ドル(9兆9110億円)は海外にあります。これをアメリカに戻すと政府に35%の税金が取られてしまう。それでは超もったいないので、キャッシュは唸るほどあるんだけど借金...要するに社債発行で賄うことにしたのです。
ジョブズが無借金経営主義だったこともありアップルの社債発行は17年ぶり、社債発行の額はなんと170億ドル(1兆6823億円)で「民間企業の1回の社債発行額としては記録史上最高」(ブルームバーグ)に相当します。
あんなにお金持ちのアップルが借金なんて変だなって思いますけど、海外から不用意に動かすと税金とられるだけなので節税できるところは節税ってことですね。
アップルが2012会計年に米国に納めた法人税は60億ドル(5938億円)で、今や米国で最も税金を納めている企業のひとつ(最大ではない)。あんまりなじってもしょうがない?
[Bloomberg]
関連:アップル 17年ぶり社債発行へ - NHK
JAMIE CONDLIFFE(原文/satomi)