エルナン・コルテス(Hernán Cortés)が1526年に記述して以来、世界中の探検家の夢を掻き立ててきた財宝の町「シウダーブランカ(白い都)」...と思しきものが1年前のレーザー探査で見つかり、今月学会で地形図が初公開となりました。
伝承によれば、シウダーブランカの所在地はモスキチア(Mosquitia)とされるのですが、この一帯は深いジャングルに覆われており、奥まで分け入って黄金を手にした者は誰ひとりとしておりません。
モスキチア探査の試みは20世紀だけでも半ダースもなされてきましたが、せいぜい見つかっても廃墟跡と盛り土ぐらいで、都市全体の全容がわかるようなものは何一つ見つかっていませんでした。
そこで走査がムリならレーザーは? ということで米ヒューストン大では1年前にこの失われた古代都市求めてホンジュラスの熱帯雨林に入り、上空からレーザーを当てまくって標高差マップを作成したのです。
レーザー
調査はなぜかLAの映画監督が音頭をとり、航空機レーザーマッピング国立研究所(NCALM:National Center for Airborne Laser Mapping)が協力しました。使ったのは、人間の肉眼で捉えられないものまで見える高度なレーザー技術「Lidar」です。これだったら鬱蒼とした葉っぱも楽々通過して地上のお宝が探せます。
Lidar自体は新しくもなんともなく、開発されたのは1960年代で、元々は雲の厚みを測るのに使われていました。今はアマゾンの密林から海賊の捕物帳まで応用範囲もだいぶ広くなってきています。今回は上空からレーザーパルスを当て、植物と地面から弾け返ってくる差を元に地形を割り出しました。
上から弾け返ってきた層(左)を1枚1枚はがしていくと...おおおお! 地上の様子が丸見え(右)!!! 上の図が今月15日、カンクンで開かれたアメリカ地球物理学連合(AGU)の学会で初公開された地形図の実物ですよ。
白い町は...ふたつ?
みんな誰もが黄金郷はひとつと信じて疑わなかったのですが、NCALMの調査ではそれらしきものがなんと2つも同時に見つかまったのです。
ちょっと訓練積んでないと見分けが難しいのだけど、Lidarで生成した画像には一定間隔を置いた盛土と直線的な構造物がいくつか映ってて、町が2つあるっぽいのですね。伝説のシウダーブランカはどっちなのか? それが、どっちでもおかしくないんですね。
とりあえず研究チームでは最も有望な特徴を持つ区画がどこか、現在解明を急いでいます。それが済み次第、現場に考古学者を送り込み、さらに詳しく調べる予定なので、まもなく全容が明らかになりますよ~。
何が出てくるんでしょね? ガラクタの山? 金の山? 説明不能な金の玉? ワクワクしますねー。
[Nature]
JAMIE CONDLIFFE(原文/satomi)