グーグル初のタブレット「Nexus 7」は本当にあの内容でこの値段なの? 徹底レビューいってみよう!
(注:ここで使ったのはプレリリース版で、ハードウェアは最終版のものですが、ソフトウェアは最終版ではありません。Jelly Bean(Android 4.1)は現在デベロッパー・プレビュー版にしか入ってなくて、ほぼ完成に近いのですが、まだバグもあります。ギズがAndroidのUXのディレクターのマティアス・ドゥアルテ氏に聞いた話では、これから発表になる追加機能もあるそうなので、最終版が出たらまた改めて触ってみますね)
なぜ注目なのか?
200ドルの割には悪くない機能フル装備のタブレット。グーグルブランド初のタブレットでもあります(ハードはAsus製ですが)。あと、Nexusなので、Android最新版(この場合はAndroid 4.1、通称Jelly Bean)のスタンダードを占う製品でもあります。価格帯的にはKindle Fireと同等。内容的にはiPad並で、iPadを半値にしてAndroidに入れ替えたのがNexus 7です。
使ってみた感想
ボディは7インチで、ポータブルなタブレットが欲しい人には最適です。(満員の地下鉄とかで)片手で使う時のバランスもとても良くて、Kindle Fire(14.6オンス=414g)よりさらに軽い12オンス(318g)。背面の素材感も最高で、柔らかくて滑らかな革みたいなんだけど、グリップの引っかかりもあります。
全体的に丈夫で、エッジはハードアルミニウムが張り巡らされてるし、ガラスは傷が付きにくいコーニングガラス(ゴリラガラスではありません)です。
外付けボタンは電源ボタンとボリュームだけ。そしてヘッドセットとUSBポート、アクセサリ用の丸い小さな差込口が4つ。Asusは年内に搭載できるようオーディオドックも今作ってるところだって言ってます。
起動すると、Nexus 7は爆速です。ギズが今のお気に入りのAndroidタブレット「Asus Transformer Prime」と同じ1.3GHzクアドコアTegra 3プロセッサ×RAM 1GB搭載なんですが、Nexus 7にはJelly Beanの新兵器であるグラフィックスエンジン「Project Butter」が入ってるので、従来のAndroidより一段とスムーズですね。OSのどこを見回してもラグはゼロ、ギクシャクしたところもありません。Jelly BeanはIce Cream Sandwichから0.1のマイナーアップデートですが、小さな改善の積み重ねで出るユーザーエクスペリエンスの差は大きいです。通知パネルに出る情報量もグンと増えてます。カスタマイズ可能なアイコンはHOMEスクリーンの一番下に7つ。アイコンやウィジェットをHOMEスクリーンにドラッグすると、元々あるものが周りに自動で並びますよ。
検索ではグーグルの次世代検索機能「ナレッジグラフ(Knowledge Graph)」(日本語解説1、2)を採用しており、これまた最高です(ナレッジグラフはGoogle.co.jpで検索しても出てきませんが、Google.comで英語で検索すると右に出てくるアレです、便利ですよね。Bingも対抗馬を出すべきブリタニカと提携しました)。
Jelly Beanには新ソフトも加わってます。例えば話題のGoogle Nowは、使えば使うほど使う人の指向を学ぶ脳がオーガナイザにドッキングしたロケベースの秘書。今のところは残念ながらベータという感じで、例えばフライトを検索するとカードが追加になることもあれば、ならないこともあったりしますけどね。
こちらのスクショでご覧ください。帰りのFトレインが6分後に出て、その駅まで徒歩12分かかる、というのまで出てくるんですが、これは僕がプログラムしたんじゃないですよ。すごいですね。でもこの下の「M103の路線バスがBowery/Princeのバス停に来る」っていうのは要らないんですよね...生まれてから一度も乗ったことないバスだけど、たまたま近くにいるから出てきたんでしょう。これは要らないのでスワイプで消しました。
Nexus 7はNFCチップ内蔵なので、写真やメディアのスワップもNFC対応フォン同士でピピッと一発です。Nexus Qにも楽に繋げますよ。
良いところ
高速でサクサクでポータブルで安く、とても200ドルとは思えないハイエンドなエクスペリエンス。LEDバックライトのIPSスクリーンは1280×800の解像度で明るくて色鮮やか。新しいiPadのRetinaディスプレイ(264ppi)ほどではありませんが、初代iPad(132ppi)よりはピクセル密度が高くて216ppi。ゲームも映画も映りは最高ですよ。
ゲームと言えば、Nexus 7の用途にはゲームも含まれてます。上の動画で2:50からゲーム実演してますが、『Shadowgun』で主人公が歩き回るとき水面にできる波紋、『Glowball』でマーブルがぶつかる布の具合をご覧ください。ああいうディテールをこれだけスムーズにレンダリングするには相当な馬力が必要です。
Jelly Beanは丹念に見えないところで磨き上げてるところがいいですね。スピード上がってるのがホントに実感できますよ。
あらかじめ搭載されているアプリも素晴らいです。例えば「Play Magazines」は非常に直感的かつ魅力的なエクスペリエンスで、ページをめくったり、ページのサムネイルを検索したり、記事単位でスクロールも可能。「Play Books」も「Movies」もUIが良くなり、YouTubeアプリはもっとチャンネル主体となりました。以上のアプリは全てMyLibraryに入ってます。
動画にもありますが、新しいGoogle MapsはCompassモードでストリートビューが見れるんです(1:23-)。未来だなあ。
声で読み上げた通りに文章に書き起こしてくれる「音声ディクテーション」はオフラインでも使えるようになりました。感動の精度です。
7インチだと、ポケットにもすっぽり収まるんですよね。パンツのポケットに一日中差し込むのは勘弁だけど、ジャケットのポケットや小さなバッグに入るなら、それに越したことないですよね。フロントカメラ付きなので動画チャットもできます。
バッテリー駆動時間はかなりのヘビーユースで9時間以上。その点も心配ありませんね。
良くないところ
一番の難点は、拡張メモリー用スロットがないこと。現状、8GBバージョン(200ドル)か16GBバージョン(250ドル)の2通りだけ。HDメディアと高性能ゲーム向けデザインなのですが、これではすぐ使い切ってしまいそうです(マイクロUSBでマウントして使えるかと思ったら、それもできないようです)。
あとひとつの欠点はハードウェア側の問題で、スピーカーが1個しかないことです。しかもポートレート(縦)に構えてボトムについてるので、ゲームをランドスケープ(横)に構えて遊んでる時は、サウンドが全部、右側からくる気がするんです。
USB端子からHDMIに変換する接続はサポートしていません。あ~あ、それがあればTVにメディアを一発で繋げるのに...。
ゴリラガラスじゃないのも残念ですね。うっかりレビュー機がテーブルから滑って下向きに落ちたらスクリーンが割れてタッチに反応しなくなりました。すごい勢いで落ちたのでしょうがないけど、20ドルで保護ケース買っといた方がいいかも。
ソフトウェア的にはJelly Beanはまだバグが残ってます。画面の向きはデフォルトで固定されてますし、強制シャットダウンも何度かありました。Google Nowもまだまだですね。でもまあ、ソフトに関してはデベロッパー・プレビュー版ですから、本番ではアップデートされてるかもしれません。
買い?
もちろん買い。200ドルでKindle Fireをわざわざ買う理由はこれでなくなったも同然です。Kindle BooksとAmazon MP3が好きな人は、そのアプリをインストールすれば済んでしまいますからね。 iPadもこの値段では対抗しづらいですね。「でもiPadの方が良いタブレットだもん」と言うことはできるけど、300ドル分ベターかって言われると、どうでしょ? タブレットは便利だけど、まだ贅沢品というイメージですよね。全部載せの本格スペックの全能タブレットがたったの200ドル。これはもう、持ってけ泥棒プライスでしょう。マジで買いですよ。
[Google Nexus 7スペック]
OS:Android 4.1
スクリーン:7インチ、720p IPS
プロセッサとRAM:1.3GHzクアッドコアTegra 3/1GB RAM
ストレージ:8GB/16GB
カメラ:背面なし、フロントは1.2MP
重量:12オンス(340g)
バッテリー:4325 mAhリチウムイオン
米国での価格:200ドル(8GB)/250ドル(16GB)
Gizランク:4
[Google]Video by Michael Hession
Brent Rose(原文/satomi)